『真・女神転生』
SUPER CD-ROM2 / 1993年12月25日発売 / アトラス
Super Famicom版(以下“原作”)から約1年後に発売されたPC-Engine移植版。
ハードウェア的な理由によりサウンド(特に本作の代表曲とも言える『Ginza』の後半が省略されているのが残念)や画面周りでダウングレードしているとはいえ、原作をほぼ忠実に(ウラワザ含めて)移植していて「PC-Engineでもよくここまで頑張った」といった感じではある。このPC-Engine版の数か月後に発売された、別メーカーに魔改造されたMEGA-CD版を見ればそりゃあねぇ…。
それでもただの移植というだけでもなく、一部グラフィックの追加(主にモブキャラのバリエーションが増加)や、随所にPC-Engineらしく全画面ビジュアルが付け加えられている。あとは、PC-Engine外部記憶装置『メモリベース128』対応によってセーブデータが10個まで増やせたり(しかしメモリベース128は電池切れやちょっとした衝撃にも弱くてあっさりデータ壊れちゃったりしたっけなぁ…)、セーブデータより判明した悪魔を一通り閲覧するだけのアナライズモードがタイトルメニューにある。
そしてPC-Engine版に隠された特筆すべきポイントは主人公の愛犬・パスカルの件か。原作では序盤の吉祥寺・エコービルで行方不明になり終盤に(悪魔合体していなくても)ケルベロスとして再会するだけだったのだが、PC-Engine版ではエコービルの件からその後間もない市ヶ谷駐屯地の地下牢に捕らえられていて、救出すればゴトウ戦やトール戦に加勢してくれる(当然ケルベロス化している場合)。その後は原作と一緒で再び行方不明になるが、そこまでケルベロス化させないままにしておくと、終盤の再会時にケルベロス化したパスカルではなく、PC-Engine版で新たに書き起こされたスペシャル悪魔"イヌ パスカル"として出現し仲魔になってくれる。これがまた強くてラストまで愛犬として傍らで大活躍してくれる。
といった感じで原作から補強された部分もあるけれど、しかしあの超カッコいいBGMが(頑張って再現されてはいるけれど)劣化しているのが兎にも角にも大きなマイナスポイントなので、敢えてPC-Engine版を絶賛オススメする程ではない。
あとPC-Engine版はゲーム中頻繁にディスクアクセスをする為、実機でプレイすると読み込み不良によるフリーズが発生しやすかったりする(筆者経験上)。現在ならエミュレータと仮想CD機能を駆使して(『Ootake』や『RetroArch』等)対処すれば安心だし快適。
『真・女神転生』
MEGA-CD / 1994年2月25日発売 / シムス余談だがせっかくなので軽く補足しておくと、MEGA-CD版は御覧の通りただの移植ではなく、シムスによる渾身(なのかどうかは定かではないけど)の手入れが施され、グラフィックだけでなく内部の仕様までもかなり改変されていて、オマケにBGMは一部を除いてCD-DAによる独特のアレンジバージョンだし、更には28体もの独自追加悪魔もあって他機種版をプレイしていても新鮮に愉しめる。かと言って他機種版より洗練されたという訳でもなく、改良改悪入り混じったまさに魔改造という感じ。