長らく使用していた通勤の友、Androidウォークマン・NW-F805が、バッテリーが完全にヘタっていてモバイルバッテリーで給電していなくては画面点灯数分で電源が落ちてしまうという始末。どうしようもなく使い辛くなってしまった。
ところでNW-F805を含むNW-800シリーズは、SoCは既に型落ちとなっていたNVIDIA Tegra 2でメモリも512MB、OSもAndroid 4.0と、それ以前に鳴り物入りで出したものの大コケしたSony Tablet S / Pの(既に型落ちした)パーツを流用して作ったとも見える廃スペックで、純粋なAndroidマシンとして使用するには貧弱な機種だったが、純粋にAndroid搭載の音楽プレイヤーとして見ればコストパフォーマンスはまずまずで、3.5インチ液晶というコンパクトさ、独自の高音質技術による音質の良さで愛用していた。
私は、当時はまだ音楽ファイル専用クラウドストレージだったGoogle Play Musicを利用し、last.fmアプリでScrobbleさせ、オマケでRadikoも聴くという、完全ネットワークプレイヤーとして使っていたのであるが、もはやレガシーなAndroid 4.0の為に、いつの頃からかOSバージョン制限によってGoogle Play Musicアプリもアップデートできなくなり(更新できないだけで利用はできた)、そんなGoogle Play Musicも遂に起動すらできなくなって(ストレージの破損?)、もはやRadiko専用機となっていた。
それにしても待てど暮らせどこのサイズの後継機が出て来ない。同種のAndroid搭載ポータブルプレイヤーや音質に拘ったスマートフォンは出ては来るけどなにしろサイズがデカい。もはや4インチ以下というコンパクトなAndroid搭載ポータブルプレイヤーは出て来ないのか。…まあAndroid…というか「last.fmアプリでScrobbleさせたい」という拘りを捨てれば良いだけなのだが。
…という事で私が後継機として選んだのがONKYO GRANBEAT DP-CMX1。「ハイレゾ・オーディオ・スマートフォン」と謳うオンキョー初のスマートフォンである。
「スマートフォン用の回路基板とは別に、デジタル・オーディオ・プレーヤー同等のオーディオ専用基板を贅沢に搭載」、「オンキヨーならではのオーディオ技術が注がれ」ているという事で、…まぁ正直私は電話機能等は要らないしハイレゾ音源に興味無いのでオーバースペックとは思いつつ、スペックに惹かれて予約購入してしまった。…注文後冷静になってみると、旧機種のONKYO DP-X1やらPioneer XDPシリーズやらSONY Xpedia Compactでも機能的にも価格的にも良かったよな…とか思ったけどそれはさておき。
パッケージにはイヤホンやヘッドホンは付属しておらず、別途用意する必要がある。とりあえず私はSONY h.ear in MDR-EX750 (3.5mm ステレオミニプラグ)を用意した。
早速ハイレゾ音源を聴いてみようと、試しにe-onkyo musicにて、サンプル音源の『SOUVENIR de Florence op. 70: I. Allegro con spirito (弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」第1楽章)』を試聴したり、『Tulip (M@STER VERSION)』ハイレゾバージョンを購入し、自前でリッピングしたMP3の同曲と聞き比べてみるもそこまで大きな違いが判らず。…というよりMP3でもそれなりに高音質で再生できているという事か?なんて雑な解釈だけど確かにGRANBEATで聴くと音がメチャクチャ良い…とは思う。無音時のノイズが目立っちゃうけど。
スマートフォンとして見てみると、昨今のスマートフォンと比べるとかなり厚みもあるし、ずっしりくる重さがネック。
物理ボタンやタッチパネルの誤動作を防ぐホールドスイッチが搭載されている事は嬉しいが、特徴的なボリュームノブに関しては、一見すると便利そうだけど実際はクリクリと軽く動き、ふとして触れたりこすれたりした拍子にボリュームが変更されてしまう事があったので(画面消灯時にノブを無効にする設定もできるが)正直微妙なところ。
カメラは背面と前面に搭載。メインカメラは生意気に(失礼)SONY Exmor RSセンサーを使用しているので画質はそこそこ良い。毎度お馴染みの場所で適当にカメラテスト。曇天気味だったのでやや暗め…。
SONY NW-F80x (NW-F805, NW-F806, NW-F807) |
ONKYO GRANBEAT DP-CMX1 | |
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発売日 | 2012年10月20日 | 2017年2月24日 |
SoC | NVIDIA Tegra 2 (Dual Core 1.0GHz) |
Qualcomm MSM8956 (Snapdragon 618/650) (Hexa-Core (Dual Core 1.8G + Quad Core 1.4G)) |
OS | Android 4.0.4 (Ice Cream Sandwich) | Android 6.0 (Marshmallow) |
メモリ (RAM) | 512MB | 3GB |
ディスプレイ | 3.5インチTFT WVGA (800x480) | 5.0インチIPS FHD (1920x1080) |
内蔵ストレージ | 16GB (NW-F805) 32GB (NW-F806) 64GB (NW-F807) |
128GB |
USB | USB 2.0 準拠 (WM-PORT 1.3 - USB) | Micro USB 2.0 |
ヘッドホン端子 | 3.5mm ステレオミニジャック | 2.5mm ステレオミニジャック 3.5mm ステレオミニジャック |
ワイヤレスLAN | IEEE 802.11b/g/n | IEEE 802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Version 3.0 Profile: A2DP, AVRCP, OPP, HID Codec: SBC |
Version 4.1 Profile: A2DP, AVRCP, HSP, OPP, HID, PAN Codec: SBC, apt-X, apt-X HD (Transmit only) |
内蔵スピーカー | モノラル | モノラル |
内蔵センサー | GPS, 加速度 | GPS, 加速度+ジャイロ, 電子コンパス, 近接, 照度 |
拡張スロット | なし | micro SD (SDHC, SDXC対応) x1 |
SIMスロット | なし | nano SIM x2 (Dual SIM Dual Standby 対応) |
バッテリー容量 | 1250mAh | 3,000mAh |
いつものようにベンチマークテスト。今回は2016年7月に購入したスマートフォン・Motorola Moto G4 Plusと、現在メインで愛用しているタブレット・ASUS ZenPad 3 8.0 (Z581KL)とで比べてみた。
ONKYO GRANBEAT DP-CMX1 |
Motorola Moto G4 Plus | ASUS ZenPad 3 8.0 (Z581KL) |
|
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Total | 77248 | 47041 | 68280 |
3D | 18976 | 8710 | 17749 |
3D [孤立] | 11173 | 5566 | 11160 |
3D [ガーデン] | 7803 | 3144 | 6589 |
UX | 27772 | 17502 | 23095 |
UX データセキュリティ | 5379 | 3808 | 5520 |
UX データプログレス | 4202 | 2080 | 3515 |
UX 戦略ゲーム | 7788 | 2904 | 6481 |
UX 画像処理 | 6327 | 3470 | 4958 |
UX I/Oパフォーマンス | 4076 | 5240 | 2621 |
CPU | 24039 | 15059 | 20575 |
CPU 算数 | 7895 | 2665 | 5948 |
CPU 共通のアルゴリズム | 6920 | 5262 | 6361 |
CPU マルチコア | 9224 | 7132 | 8266 |
RAM | 6461 | 5770 | 6861 |
ONKYO GRANBEAT DP-CMX1 |
Motorola Moto G4 Plus | ASUS ZenPad 3 8.0 (Z581KL) |
|
---|---|---|---|
SoC | Qualcomm MSM8956 (Snapdragon 618/650) 64bit |
Qualcomm MSM8952 (Snapdragon 617) 32bit |
Qualcomm MSM8956 (Snapdragon 618/650) 64bit |
Single-core Score | 1376 | 643 | 1471 |
Multi-core Score | 2571 | 2680 | 2671 |
Compute Score (RenderScript) | 3132 | 1300 | 3085 |
ASUS ZenPad 3 8.0 (Z581KL)とはSoCが同じだけあってほぼ互角。Motorola Moto G4 PlusはSoCの格が違う上に32bit駆動のせいかスコアにかなり差が開いてしまった。しかしながら3機種共それぞれレスポンスは良く、使用する分にはいずれも悪くはない。
いずれにしてもGRANBEAT DP-CMX1は確かに他のスマートフォンと比べて音質の良さや拘りは感じられるものの、ハイレゾ対応イヤホンやヘッドホンも付属しないのでお買い得感も無く高価な端末で、それなりのデジタルプレイヤー又はスマートフォンを所持していればイヤホンやヘッドホンやらUSB DACで補強していくのが手軽かも、というのが素人な私の結論ではあるが、スマートフォンとしてもスペックは充分で使い勝手はあるし手にした重厚感や高級感も悪くはないので、これからスマートフォンの購入を検討していてとりあえず音質設定に拘りたい方は検討してみる価値はあるかもしれない。
どこかで実機に触れられる機会があれば是非自分の耳で音を聴き比べてみよう(投げやりなまとめ)。
<関連サイト>
GRANBEAT スペシャルコンテンツ
GRANBEAT 商品情報
オンキヨーグループ総合サイト (オンキヨー 株式会社)
NW-F805 商品情報
ソニー 株式会社
(2017年3月21日 記事修正)
(2017年3月25日 記事修正)
(2017年4月29日 記事修正)
(2018年6月10日 記事修正)
(2018年8月20日 記事修正)
(2020年12月19日 記事修正)
(2022年11月18日 記事修正)